[2328] 『ちょっと前の日本の暮らし』 2011年1月8日 12時45分
村山春樹 さん
『ちょっと前の日本の暮らし』
中川誼美
著/中央公論新社
740円
茅葺き屋根、薪で焚くお風呂、かまどで炊くご飯、囲炉裏を囲んで身体の細胞が喜ぶ
旬の食材を皆で食べる。そんな50年前にはあたりまえの地方の暮らしを再現した旅
館「綾部吉水」(京都・綾部市)をつくってしまったのが、著者の中川誼美さんだ。ほか
にも中川さん経営の宿があり、その経緯や熱いポリシーは2010年の本紙連載「宿屋
レジスタンス」でも披露された。
55歳からの旅館業への転身はそこだけを見たら容易なことではないとうつる。だが、
経済成長へとひた走った最中には見えなかったこと、感じられなかったことを、感じ、
見えるようになった時、中川さんの前には「ちょっと前の日本の暮らし」を伝道するに格
好な仕事が待っていたのだろう。
五感を磨くこと、温かい心の通い合い、子どもの笑顔、職人技の復活など、どう「今」の
暮らしに取り入れるのか?
ゆっくりした時間が流れるお正月、こたつのぬくもりの中
で考えたい。(束)
(本の価格はすべて税抜きです)
『ふぇみん』2011年1月1日号
7ページ
書評
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