[543] 明日へのセーフティネット② 2008年4月8日 13時44分
国士無双 さん
国士無双です。
先程の続きです。
生活保護と医療の問題を考えるうえで、避けて通れない事件がある。旧安田病院グ
ループによる診療報酬詐欺事件がそれだ。グループは「ナイチンゲール主義」を標榜
(ひょうぼう)し、身寄りのないお年寄りや、精神障害者など引き受け手の少ない生活
保護受給者らを積極的に受け入れ、全国有数の収益をあげていた。そのグループ
に、大阪地検などの強制捜査のメスが入ったのは9年7月。「ここに入院させたことを
後悔しています。でも他には行き場所がなかった」。報道関係者でごったがえす大阪
市住吉区の旧安田病院前で、親族の男性(83)を見舞いに来たという男性(40)は当
時の取材に答えた。
捜査で明らかになったのは、身寄りのない患者たちを食い物にした信じがたい医療
の現場だった。冒頭陳述では、「新規の入院患者については心臓病の有無に関係な
く、点滴のさい、強心剤をいれて一定期間使用する」「必要性の有無に関係なく、それ
らしい病名をつけた上で、定期的に各種検査を実施する」-と、治療ではなく、いかに
診療報酬を稼ぎ出すかを最優先させた診療マニュアルがあったことを明らかにした。
それでも、「薬物中毒の患者や、身寄りのない患者でもいやがらずに受け入れてくれ
るという点では、重宝した病院ではあったんです」と、当時の府幹部は打ち明ける。
ある医療関係者は、そんな金もうけ至上主義の病院が、今も大阪だけで「10はあ る」と告発する。「旧安田病院グループのノウハウは多くの病院に受け継がれている」
というのだ。
しかし、医療性善説に立ち、医師の裁量権が広く認められているため行政の監視も なかなか行き届かない。
生活保護費のおよそ半数を占める医療扶助の総額は、旧安田病院グループが摘発 された9年の9230億円から、17年には1兆3470億円と1・5倍近く増えている。生
活保護受給者が多い大阪などでは、基幹となる内科系病院を拠点に、精神科医院か
ら内科系病院、また精神科医院へと、3カ月ごとに患者を玉突きさせる病院間のネット
ワークができていると医療関係者の間ではささやかれている。入院90日で入院基本
料が引き下げられるため、診療報酬の目減りを防ぐためだ。そんな病院で、どんな治
療が行われているのか、実態はなかなか表面化しない。
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